難波宏明選手の引退について

 難波選手の引退の発表を見て「えっ⁉」と驚いてしまいました。

 今シーズンのチームでの使われ方、また年齢的な事を加味すると「岐阜での契約の更新は難しいのかも…」とは感じていました。

 でも、僕は「当然、現役にこだわるだろう」と、「やめることはないだろう」と、なぜだか思い込んでいました。

 だから、それを見た時はショックでしたが、あらためて年齢をみたらもう35歳なんですね。冷静に考えれば、確かに無い話ではないですね。

 
 毎年のように残留争いをするチームが、それでもJ2にしがみつけたのは、難波選手の功績が少なくなかったと思います。

 今年だって、数字こそ残せませんでしたが、若手が多いチームの中で、難波選手がピッチ内外でベテランとしての役割を果たしてくれたから、20位で踏みとどまれたと想像しています。

 岐阜の歴史をつないでくれて、本当にありがとうございます。


 難波選手といえば、2015年アウェイのヴェルディ戦。

 J最速でのハットトリック。その後、残りわずかの時間から4失点。まさかの大逆転負けをした悲劇の試合でJに名を刻みましたが、実はその試合、僕は現地で観てたんです。


 最初は最高の気分でした。

 早い段階で難波選手がハットトリックして、岐阜のサポーター席もお祭りムードです。

 僕も「東京まで来たかいがあった」とハッピーな気持ちでいっぱいでした。

 その後にまさか、あんな悪夢をみせられるなんて、その時は誰も想像できませんでした…。


 まだ1点取られたくらいまでは良かったんですよ。

 「なんだよ、今日こそ完封できそうだったのに…。まぁ、残り少し、キッチリ締めてよ」ってな感じでした。

 それが、相手が鮮やかなFKで2点目を取ったくらいから「あれっ、ちょっと待って…」と何だか試合の雰囲気が変わってきました。

 さっきまで賑やかだった岐阜のサポーター席が、本当にカイジみたいに『ざわ、ざわ、ざわ』と不穏な空気に包まれ出し、そっからはジェットコースターのように失点して、気が付いたら、いつのまにか敗者になっていました。


 その時は、まわりのサポーターも、悲しいとか、怒りとかよりも、茫然としてまして、「何が起こったかよく分からない」という感じでした。

 ただ、試合後、挨拶にきてくれた難波選手が涙をぬぐう姿はやはり印象に残りましたね。

 難波選手の交代後に起こった事なので、本人としては、よけいにやりきれない思いがあったのでしょう。


 その後、しばらくしたら、僕も段々と、心底、悔しさだのチームへの憤怒だのの感情が溢れ出てきて、最悪の気分でしたが、『FC岐阜の悲劇』として、今なお語り継がれる試合の生き証人になれた事は、サポーターとして、正直、少し自慢に思うところもあります。


 本当は、難波選手に関して、他にも、もっと書きたいエピソードなどもあるのですが、あまり長くなりすぎてもあれなので…。


 難波宏明選手。5年間、岐阜のサッカーを盛り上げていただいて、本当にありがとうございました。

 今後のご活躍も、期待しています!
 

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